構造物の風環境基準

国土総合研究所では道路に関する環境影響評価の技術手法として

「3.強風による風害 3.1 換気塔等の大規模施設の設置に係る強風による風害」

を出しています。換気塔とは地下式道路に外気を取り入れ、排気する換気のための太い煙突のような構造物であり、外観は下図に示すように高層ビルに似ています

道路の換気塔

 このような構造物に対して「風害」について次のように記されています。

 


3.強風による風害

3.1 換気塔等の大規模施設の設置に係る強風による風害

 換気塔等の大規模施設(以下、「大規模施設」という。)の設置に係る強風による風害についての調査は、予測に必要な気象条件の設定を目的として、気象を対象に行う。予測は、既存の類似風洞実験結果を用いる方法(注1)により大規模施設の設置後の風環境を対象に行う。予測結果から、環境影響がない又は極めて小さいと判断される場合以外にあっては、環境保全措置の検討を行う。評価は、事業者により実行可能な範囲内で回避・低減されるかどうかについて、見解を明らかにすることにより行う。

 なお強風による風害とは、大規模施設周辺の気流が、剥離風や吹き下ろし等の現象により、周辺地域の居住者及び歩行者等に対して生活環境上の影響(注2)を与えるものである


解説


 

(注1)既存の類似風洞実験結果を用いる方法

 風洞実験で過去に測定した類似の寸法の建物のデータを用いて、目的とする建物の周辺の風速を予測します。参照する過去のデータとは、建物の高さ、幅、奥行きが10m×10m×10mサイコロ状から、高さ50mという高層建物まで数多くの建物形状について実験され、そのデータが公表さています。

 この方法では、単体建物の周辺の風速はわかりますが、建物が複数存在したり、建物の風上に別な建物があるとその建物による影響を受けて、必ずしも正しい評価が出来ません。またデータは風速値の建設前後比、すなわち建物がないときの風速に対する、建物が建設された後の風速の比で表されます。あくまでも建物建設前後で風速が何倍になるかという倍率でしかなく、その絶対値の風速の評価は出来ません。このため、この建設前後比が1以下かまたは1に近い場合にのみ影響がないといえますが、1を超える場合は、コンピューターシミュレーションや風洞実験などのより詳しい調査が必要となります


 

(注2)剥離風や吹き下ろし等の現象により、周辺地域の居住者及び歩行者等に対して生活環境上の影響を与える

 建物に風が吹きつけたときに、その風下側では建物による風(ビル風)が生じ、その主なものが剥離風と呼ばれる建物側面からの風です。この風が周辺地域の風速を増し、居住者や歩行者等に対して生活環境上の影響を与えることとなります。具体的には傘がさしにくいとか、風が強くて歩きにくいといった現象です。こうした影響を評価するために村上法風工学研究所の評価尺度が用いられており、これらの評価尺度で「住宅地の風環境に相当する」と判断された場合には、居住者や歩行者等に対する生活環境上の影響は小さいと判断されるようです。


まとめ


 結局のところ風害とは、

  •  周辺地域の居住者及び歩行者等に対して生活環境上の影響を与えるものすべてをさすものであり、実際的な風による建物の損壊などを限定できるものではない
  • 対処方法、すなわち風害の有無の判定は、がないことを言うには次の方法による

ということです。


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