ビル風の評価法

ビル風の評価法として今日使用されているものは、

の3つがあります。

ビル風の評価法 村上法

 この評価指標は,東京都中央区の月島1丁日や港区三田等における風観測結果と住民の意識調査結果をもとに、実際の土地の用途と日最大瞬間風速の発生頻度を関連付けたものです。また、この評価方法では,歩行者環境を対象としているため、地上1.5mにおける日最大瞬間風速の超過頻度を用いています。

 住宅地の商店街、住宅街、事務所街と用途が風の影響を受けにくい地域になるほど、実際の日最大瞬間風速の発生頻度が高くなっていたということです。こうした事実から逆に、土地の用途ごとにそのような地域で許容される風速の発生頻度を判別するための指標として利用されています。
なお、ランク3の規定値を越えるレベルの強風の発生が予測される風環境をランク4とし、「好ましくない風環境」として評価しています。

 日最大瞬間風速とは1日の中の瞬間風速(数秒間)の値ですが,居住者のアンケート調査によると、風による感覚は日最大瞬間風速と高い相関があったということです。また,確率的な風速の計測が年間の発生日数で表せるというわかりやすさなどから日最大瞬間風速が用いられています。

 ただし、風環境を予測する場合は風洞実験やコンピューターシミュレーションによらねばならず、それらの結果は日最大瞬間風速では求められません。なぜならこうした解析手法では瞬間現象が捉えられず、平均流として予測するしかないからです。

 このため、こうした平均流での予測結果に対して村上法でも評価出来るようにするため、日最大瞬間風速ではなく日最大平均風速を用いて評価ができるように配慮されています。それがガストファクター(G.F)です。

    最大瞬間風速=日最大平均風速×G.F

村上法   日最大瞬間風速を基準とする場合

日最大瞬間風速をもとに、しかも評価値を%で表す場合を表1に示します。

表右側の判定数値(黄色の領域)がわかりにくいのでケースごとに読み替えてあります。

表1 村上法 (日最大瞬間風速、%)

この上の表の見方は、一年間のうち日最大瞬間風速が

  1. 10m/s以下の日が10%以内か
  2. 15m/s以下の日が0.9%以内か
  3. 20m/s以下の日が0.08%以内か

と3水準で判断し、いずれもyesならランク1と判定されます。

 

また、一年間のうちの日数を%ではなく日単位で評価する場合は下の表となります。

表2 村上法 (日最大瞬間風速、)

村上法   日最大平均風速を基準とする場合

さて、一方日最大平均風速をもとに評価し、かつ評価値をで表す場合を表3に示します。

表3 村上法 (日最大平均風速、)

この上の表の評価値は、表1と同じですが、3水準の基準風速は10,15,20m/sではなく、基準風速をGF(ガストファクター、突風率)で除して日最大瞬間風速に変換して評価します。

表中の「10/GF」の意味は、10÷GF すなわち GFを2.0とした場合、10÷2.0=5 なので、表の判定値を5m/sに読み替えて判定するという意味です。これを次の3水準で行います。

  1. 5m/s以下の日が10%以内か
  2. 7.5m/s以下の日が0.9%以内か
  3. 10m/s以下の日が0.08%以内か


という3水準で判断し、いずれもyesならランク1と判定されます。一つでもオーバーしたらランク2以上となります。

 

同様に、一年間のうちの日数を%ではなく日単位で評価する場合は表4となります。

表4 村上法 (日最大平均風速、)

G.F ガストファクターとは

日最大平均風速を1とした、日最大瞬間風速の比がガストファクター(G.F)です。

    G.F=最大瞬間風速÷日最大平均風速

G.Fの値には次のような値が目安として示されています。

用途地域 G.F
密集した市街地(乱れは強いが,平均風速はそれほど高くない) 2.5〜3.0
通常の市街地  2.0〜2.5
特に風速の大きい場所(高層ビル近傍の増風域など) 1.5〜2.0

 しかし、近年ではG.Fの研究が進み、G.Fの大きさは風速と逆相関する傾向が確認されています。このため建築学会などでは風環境予測結果を評価する場合にG.Fをその場所の風速に応じて(式で与えて)変化させるという方法がとられています。

10m/s,15m/s,20m/sの風とはどんな強さか

ランクの判定根拠となる風速の値、10m/s、15 m/s、20m/s(瞬間風速)は、それぞれ強風による具体的な影響の度合いを意味しています。

風速

現象
10m/s ごみが舞い上がる。干し物が飛ぶ。
15 m/s 立看板,自転車等が倒れる。歩行困難。
20m/s 風に吹き飛ばされそうになる。

風速の定義

日最大瞬間風速とは、一日の中での評価時間2〜3秒毎の値の内、最大のものです。
日最大平均風速とは、瞬間風速をもとに10分間の平均値を連続的に求め、その値の一日の中での最大値です。
気象観測等でいう平均風速とは、一般的に10分間平均風速です。

ビューフォート風力階級

ビューフォート風力階級(ビューフォートふうりょくかいきゅう、Beaufort scale)は、風力(風の強さ)を、風速によりいくつかの階級に分けたスケールである。イギリスの海軍提督フランシス・ボーフォートが1806年に提唱した。ボーフォートは風力を0から12までの13段階で表し、それに対応した海上の様相についての表を作成した。その後、より客観的な風速と風力階級も対応付けられた。
この風力階級表は1964年に世界気象機関の風力の標準的な表現法として採択され、現在ではビューフォート風力階級といえば通常はこの世界気象機関で採択された風力階級表を指す。日本の気象庁の採用している気象庁風力階級と同一のものである。

風力階級
名称 相等風力 陸上の様子 海上の様子
0 平穏(へいおん) 0〜0.2m/s 煙はまっすぐ昇る。
ビューフォート風力階級0
水面は鏡のように穏やか。
1 至軽風(しけいふう) 0.3〜1.5m/s 煙は風向きが分かる程度にたなびく。
ビューフォート風力階級1
うろこのようなさざ波が立つ。
2 軽風(けいふう) 1.6〜3.3m/s 顔に風を感じる。木の葉が揺れる。
ビューフォート風力階級2
はっきりしたさざ波が立つ。
3 軟風(なんぷう) 3.4〜5.4m/s 木の葉や小枝が揺れる。
ビューフォート風力階級3
波頭が砕ける。白波が現れ始める。
4 和風(わふう) 5.5〜7.9m/s 砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が宙に舞う。
ビューフォート風力階級4
小さな波が立つ。白波が増える。
5 疾風(しっぷう) 8.0〜10.7m/s 葉のある灌木が揺れ始める。
ビューフォート風力階級5
水面に波頭が立つ。
6 雄風(ゆうふう) 10.8〜13.8m/s 木の大枝が揺れ、傘がさしにくくなる。電線が唸る。
ビューフォート風力階級6
白く泡立った波頭が広がる。
7 強風(きょうふう) 13.9〜17.1m/s 大きな木の全体が揺れ、風に向かって歩きにくい。
ビューフォート風力階級7
波頭が砕けて白い泡が風に吹き流される。
8 疾強風(しっきょうふう) 17.2〜20.7m/s 小枝が折れる。風に向かって歩けない。
ビューフォート風力階級8
大波のやや小さいもの。波頭が砕けて水煙となり、泡は筋を引いて吹き流される。
9 大強風(だいきょうふう) 20.8〜24.4m/s 屋根瓦が飛ぶ。人家に被害が出始める。
ビューフォート風力階級9
大波。泡が筋を引く。波頭が崩れて逆巻き始める。
10 全強風(ぜんきょうふう) 24.5〜28.4m/s 内陸部では稀。根こそぎ倒される木が出始める。人家に大きな被害が起こる。
ビューフォート風力階級10
のしかかるような大波。白い泡が筋を引いて海面は白く見え、波は激しく崩れて視界が悪くなる。
11 暴風(ぼうふう) 28.5〜32.6m/s めったに起こらない。広い範囲の被害を伴う。

山のような大波。海面は白い泡ですっかり覆われる。波頭は風に吹き飛ばされて水煙となり、視界は悪くなる。
12 台風 32.7m/s以上 被害が更に甚大になる。 大気は泡としぶきに満たされ、海面は完全に白くなる。視界は非常に悪くなる。
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