風切り音の調査・対策

 本サービスは、建物周辺での風きり音について、現地で高風速を発生させて、風切り音を測定し、音の原因を究明し、その消音対策までを行うものです。風切り音の対象としては、外壁の突起やベランダの手すりなどを含みます。高風速を発生させる手段として、持ち運び可能な小型風洞を行い、現場に持ち込んで風洞実験を行います。好ましくない騒音が生じた場合は、その場で対策検討を行います。音の特定には騒音計のほか、3分の1オクターブバンド分析、FFT解析まで行います。

 建物の外壁の凸型形状やスリット、またはベランダに手すりがあり、その建物が高層建築である場合に、建物高層階にて強風による風きり音の発生が予想されます。このため、実際に強風が吹いたときの風を吹かせて、発生音を確かめる必要があります。本サービスでは人為的に任意の方向に強風を発生させて、風が外壁の凸型形状などを通過する際に発生する音を確認し、事前に消音対策をご提案します。

東京の強風発生状況

 東京管区気象台の過去5年間の日最大瞬間風速の変化です。大部分の日は5〜20m/sの範囲におさまっていますが、20〜30m/sの日も少なくありません。風きり音対策として、ほとんどすべての強風を網羅するには、最高風速としては30m/s程度と想定しておく必要があります。

 これは都心地域での強風の目安であり、海岸地域や田園地帯、あるいは標高の高い場所ではさらに大きな風速が予想されます。

 東京管区気象台の風速計は、千代田区北の丸公園 海抜20m、風速計高さ35.1mにあり、地上高さだけからいうとほぼ10階建てマンションの軒高に相当します。このため一般的な中高層マンションマンションの最上階の風に相当すると考えて間違いありません。しかし、最近流行の超高層タワーマンションでは50階クラスのものもありますし、また湾岸地域の海に近いエリアではさらに強風となる可能性もありますので、風速の上限値については物件ごとに慎重に考える必要があります。

 現在検討中の物件で最大風速がどの程度と予想されるかについては、物件ごとに当社にお問い合わせください。最寄りの気象データと地形から解析して、信頼できる強風の目安をお答えいたします。

東京管区気象台の日最大瞬間風速

調査方法

1. 調査の対象

  • 外壁の凸型部
  • 手すり
  • 独立した角柱

などを対象として、一部を取り出して、周辺に気流を流して渦を発生させて音(風切り音)を確認します。

2. 調査項目 

(1)気流の騒音の大きさ

(2)騒音の周波数(1/3オクターブバンド分析FFT解析共に可能です)

3. 測定機

(1)風速 ピトー管型風速計(最大風速80m/s)

(2)騒音 普通騒音計 (データ収録後に分析可能)

 測定は下の写真のように、目的とする風速を確認しながら、同時に騒音を測定し、データを収録します。

風速と騒音の同時測定

4. 測定用小型風洞 (気流の発生手段)

 対象物に垂直な気流を発生させるため、小型風洞を用意し、対象物を含む空間をダクトで囲って、その断面内に平行気流流してして実験を行います。以下は風洞装置の一例です。

@風洞の機構 全体的な風速発生機構としては、送風機を設置し、ジャバラダクトで気流を導き、整流したのち、縮流し、測定用の測定洞に気流を供給します。

A測定洞の断面は幅10cm、高さ30cmです。

B送風機能力を上げることで風速は最大40m/sまで可能です。送風機は実験風速に応じて、400w〜3.8kwの範囲で選択します。

風洞実験装置

風洞実験装置の全体図

実験用風洞の図面

 風切り音を測るための実験用風洞装置は、上図のように送風機から出た風をメッシュで乱れをとり、整流格子で整えて、そして縮流して測定洞に導く仕組みとなっています。装置全体は軽量な構造となっており、固定場所に搬送して全国どこでも実験ができるようになっています。

 


各部の詳細と気流のようす


 

風洞実験装置の送風機と整流チャンバー
 上の写真は送風機と整流チャンバーから見たものです。送風機から送り込まれた風は布製ダクトの中で、気流が拡散して均一化し、圧力に変換されています。そして流れの方向を整えた上で、白いダクトの縮流胴に向かいます。

 

風洞実験装置の縮流胴

 上の写真は縮流胴を表しており、ここではなめらかな曲面に沿って乱れを生ずることなく風速を高めます。乱れを発生しないことによって、流路の途中で余計な騒音を発生しないようにしています。

風洞実験装置の測定洞

 上の写真は水平面にある凸型突起を評価するための測定胴です。測定対象に合わせて、必要な気流が得られるように測定洞のダクトを作成します。図中の矢印は、測定洞中の風の流れを表しており、凸型の物体を乗り越えるときに流線がふくらみ、そこに逆流が生じて、渦が発生することによって風切り音が発生します。

 


気流を整流するために細心の注意を払っています


 

整流チャンバーの中、整流メッシュがある。抵抗をつけることで整流している

 送風機から出た風は、風速を圧力に変換したあと、整流メッシュによって断面に対して均一に分布され平行な流れとなって布製チャンバーの中を進んでいきます。

整流チャンバーはキャンバス製で点検口がある。整流格子が見える

 上の写真は布製ダクトの中の気流の向きをあらわしており、整流メッシュから平行な流れとなって整流格子に向かいます。

整流格子で気流を平行にする

 整流格子では縦横に組み合わさった平行板によって、更にまっすぐな流れとなります。

 

測定洞の出口から中をのぞくと、測定対象物と整流格子が見える

 上の写真は測定洞の出口側から中を覗いた様子で、整流格子からの風が真っ直ぐにやってくる様子が伺えます。

 


水平面だけでな垂直面でも測定できます。


 

垂直面(壁)を測定する場合の風洞装置の配置

 上の写真は垂直面に合わせて風の流れを発生させ、壁面(垂直面)の風切り音を測定する場合の、装置の配置をあらわしています。

垂直面(壁)を測定する場合の測定洞のようす

風洞実験による風切り音の消音対策のようす

 建物外壁などにある凸部に風が吹き付けると風切り音(ぴゅー)が発生します。これは 渦の発生によるものです。このため三角棒で気流の向きを変えたり、メッシュ板で気流を和らげ、かつ乱れを与えることにより、渦の発生を防止できます。空気の渦がなくなると音の発生源がなくなって風切り音を消音できます。このようすを風洞実験で確認しました。


(1)三角棒によって
消音した場合

風切り音の消音対策に用いた三角棒 風切り音の消音対策に用いた三角棒

 

(2) メッシュ板で消音した場合

 メッシュ板風切り音の消音対策に用いたメッシュ板

風きり音の分析(3分の1オクターブバンド分析、FFT解析)

 気流によって発生した、風きり音(ぴゅー音)は騒音計で測定し、周波数を分析して特定します。下の写真は、測定洞におかれた空き缶(200cc)により発生した音を測定しているところです。白いダクトから突き出された風は、水色の流線が示すように空き缶にぶつかって、一部の風がカン口から中に吹き込んで共鳴します。これは楽器のフルートと同じ原理です。どんな音かは、空き缶の口に息を引き当ててもらえれば、身近に体験することができます。

空き缶を用いた風きり音(笛なり)実験

 

 このように発生した音を3分の1オクターブバント分析で測定すると下のような分布になります。この図から、赤い矢印が示す中心周波数500ヘルツのバンドにピークがあることがわかります。おおまかな音の傾向はこのように3分の1オクターブバント分析でも把握することができますが厳密にはFFT解析が必要となります。

空き缶を用いた風きり音(笛なり)実験で1/3オクターブバンド分析


 下図は、一旦録音した音を実験室でFFT解析したものです。x軸は対数表示になっており、発生した音のピークが468ヘルツで独立したスペクトルとなっています。FFT解析を行うとこのように特徴的な音を他の音、すなわち暗騒音や近似した周波数の音とも分離してとらえることが可能です。

空き缶を用いた風きり音(笛なり)実験でFFT解析

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