控えめな係数設定で安全側の予測をしています。

 このようにしてできた樹木の防風効果の計算式は、樹木の葉の密度(葉面積密度)と相関があるため実際の樹木に合わせて値を選択する必要がありました。大林組技術研究所の片岡浩人様、木梨智子様、川口彰久様らの研究によると、樹木の葉面積密度はタブノキ他5種類の樹木で、2.87から13.36と大きく変化し、また葉の抵抗係数も0.2〜0.6と大きく変化するものの、幸いなことに、これらの樹木の定数を計算式に入力して、数値流体計算によって樹木の周辺の風速を求めたところ、どの値にしようとも、風速の結果に大きな変化はなかったということです。この結果は大林組技術研究所報※4に詳しく書かれており、ネットから見ることができます。


参考文献


※4 片岡浩人、木梨智子、川口彰久:「風環境シミュレータ「Zephyrus (ゼフイルス)」の開発」大林組技術研究所報 No.64 2002


 こうして得られたキャノピーモデルの防風植栽の計算式について日本建築学会、風環境数値計算ワーキンググループによって検証された結果についてご説明します。同ワーキンググループでは風の数値解析(コンピュータ・シミュレーション)の信頼性を高めるため、現在開発されている数々の手法について検証し、その精度について「市街地風環境予測のための流体数値解析ガイドブック」にまとめています。当社が用いるビル風用解析プログラムはzephrus(ゼフィルス)という大林組によって開発されたプログラムであって、大林組技術研究所の研究者も多数、このワーキンググループに参加されて、風洞実験とのベンチマークテストを行われました。

 このベンチマークテストで実験モデルとして選ばれたのが、防風壁のような形状の築地松です。島根県出雲平野では、冬の季節風を防ぐため屋敷の西側と北側に黒松を植えますが、下の写真のように壁状に刈り込まれた松は特有な風格を造ります。このような樹木の周辺の流れのベンチマークテストが行われました。

実験対象となった築地松の写真

 その結果は、下図のように樹木の風下側7mでは風速が1/2程度に低減し、足元の幹しかない部分ではやや風が通過しているという納得しやすい結果となっています。図中の青の部分は計算結果による防風効果を表しています。樹木の風下側14m、28mでも築地松の幅が広いため防風効果が失われていません。そして注目していただきたいのは、計算結果の風速は、植栽に近い場所では風洞実験よりやや大きく、すなわち防風効果としては小さくなっていますが、しかし、植栽から高さの4倍程度に離れた場所では計算結果は風洞実験とほぼ一致しています。つまり、この計算式で防風植栽を設計すれば安全側の予測が可能ということです。

実験対象となった築地松の風速低減効果、風洞実験

 

 以上のことから、樹木の防風力の計算は、k-ε2方程式に代入する、葉の抵抗係数(Cf)葉面積密度、乱流エネルギーの消散率(Cpε)などの定数に左右されますが、当社が行う樹木による抵抗の計算では、大林組技術研究所が採用した方式、葉面積密度でいうと1.5[m2/m3]という控えめな数字によって、防風植栽の効果について安全側の計算を行うように努めております。

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