7. 「吹き下ろしの風」がビル風の原因ではない
吹き下ろしの風がビル風の原因と思われている方が多いようですが、建物近傍で吹き下ろしの風が観察されるのは、建物の風上側の正面だけです。ここは前述の通り、弱風帯です。つまり
「吹き下ろしの風が勢いにのって、建物側方で急降下して、地上付近のビル風となる」わけではない。
あるいは
「ビルの近傍では、吹きおろし(鉛直方向下向き)の強い風が吹く」わけではない。
ということです。風洞実験で下図のような気流は観測されたことはありません。風洞実験、コンピュータシミュレーションのいずれの結果においても、風速増加域の風はほとんど水平に近い角度です。
図 風が建物の近くで急降下してビル風となるわけではない