9/29から10/1にかけて日本列島を台風24号が通り過ぎました。台風のルートは下図のように沖縄をかすめて、本州を縦断しました。この結果、29日には那覇市では最大瞬間風速が4年ぶりに50 mを越え、30日夜から1日未明にかけて愛知県、東京都でも相次いで記録的強風となりました。

沖縄の風速、風向

　沖縄で観測された風速は下図のように、昼過ぎに一度風が収まり、夕方から再び強風となりました。これは台風の目が通過したからです。最大瞬間風速は18:20に53.1m/sを記録しました。

　また、瞬間最大風速の平均風速に対する比、これをガストファクター(gust factor、突風率)と読んでおりますが、その値は1.5〜1.7程度であり、比較的小さいことから、海の上を渡ってくる乱れの少ない風だと考えられます。

　この間の風向は、午前中は東南東、昼前には南東、夕方は西南西と台風の移動に伴って風向が変化しています。

　沖縄の気象台では、風速は47.8mのタワーの上で測定しています。この風を一般的な住宅の軒高さ10mに換算しますと約半分程度で、瞬間最大風速では約25m/sになります。この換算原理は風速の鉛直方向の変化には一般的にべき法則が当てはまることを応用しています。(10÷47.8)^0.2＝0.500

浜松の風速、風向

　浜松でも9/29夜中に強風が観測されました。観測された風速は下図のように、夜になってから風速を増し、最大瞬間風速は23:10に41.9m/sを記録しました。そして5:50ごろに一度おさまりますが、その後再びぶり返しています。

　また、瞬間最大風速の平均風速に対する比、ガストファクター(gust factor、突風率)は1.5〜2.2程度で変化しており、風が到来する経路によって地上の凹凸の影響を受け乱れを含んだ風となっていると考えられます。

　風向は、はじめ南東〜南南東、次に南、そして最後に南南西と台風の移動に伴って風向が変化しています。

　浜松の気象台では、風速は16.8mの鉄塔の上で測定しています。この風を一般的な住宅の軒高さ10mに換算しますと約半分程度で、瞬間最大風速では約25m/sになります。この換算原理は風速の鉛直方向の変化には一般的にべき法則が当てはまることを応用しています。(10÷16.8)^0.2＝0.62

東京の風速、風向

 　東京でもやや遅れて10/1に日付が変わった直後に強風が観測されました。観測された風速は下図のように、夜7時ごろ給に風速を増し、最大瞬間風速は1:50に39.3m/sを記録しました。そして4:50ごろにはおさまっています。

　また、ガストファクター(gust factor、突風率)は1.5〜2.7と前記2年に比べてもっとも大きくなっています。この要因として風が到来する経路にある都市の高層建物などの凹凸の影響を受けていると考えられます。

　風向は、南南東〜南南西まで変化していますが、おおむね南です。

　東京管区気象台では、風速は北の丸公園の科学技術館塔屋屋上35.3mで測定しています。この風を一般的な住宅の軒高さ10mに換算しますと約半分程度で、瞬間最大風速では約20.1m/sになります。この換算原理は風速の鉛直方向の変化には一般的にべき法則が当てはまることを応用しています。(10÷35.3)^0.2＝0.53

　台風２１号の通過により京阪神地方で強風が発生しました。この台風の経路は下の図のように、四国の東側を掠めて紀伊水道を北上し、神戸に上陸、その後日本海に抜けました。このため台風の東側当たる大阪、神戸、京都で強風を記録しました。

大阪での最大瞬間風速は、14:03に47.4m/s、風向は南南西でした。14時から急に風速を増しています。台風の通過前後で、東→南南東→南南西に風向が変わっています。

　上記風速は、気象台高さでの風速でした。一方、身近で感じられる住宅地での、建物軒高(10m)での風速を求めてみました。

大阪管区気象台は大阪城公園にあり、その周辺はビル街に囲まれています。風速は鉛直方向の高さとべき乗則が成り立つため、気象台の風速と、住宅地での風速を関連付けられます。

　その結果が下の図です。気象台での観測値より大きくなり、瞬間最大では50m/sを超える風速となっています。

　一方、神戸では、13:41に41.8m/s、風向は東でした。大阪より先に14時まえから急に風速を増しています。台風の通過前後で、東北東→東→南南東に風向が変わっています。

　神戸についても、住宅地での、建物軒高(10m)での風速を求めてみました。神戸地方気象台は、臨海部にあり、その周辺はビル街に囲まれています。

気象台での観測値よりやや風速が大きくなっています。

　京都では、大阪、神戸より遅れて14:34に最大瞬間風速39.4m/s、風向は東でした。14時30分を過ぎてから急に風速を増しています。台風の通過前後で、東→南→南南西に風向が変わっています。

　京都の住宅地での建物軒高(10m)での風速も求めてみました。京都地方気象台は、京都盆地の中央部にあり、その周辺は住宅街に囲まれています。

気象台での観測値より、観測高さが低くなる分だけ、風速は小さくなっています。