6. 高層ビルに風が当たると建物の風上側の圧力はさらに高くなり、ビルの横に強風が吹き出す
高層ビルでは、上空の大きな風速を受けるので、前述のビルの風上側の圧力もさらに大きなものとなります。その結果、高層ビルではビルの足もとまで圧力が高くなってしまい、この圧力エネルギーが元になって、風上側の角を通過した後に、建物の横に強風が発生するのです。こうした原理から、高層ビルほどビル風問題が大きいことが説明できます。
もう一度整理しますと次の下図のようになります。
ビルに風(上空は強い風)が吹き付ける。風速が圧力に変換されて、圧力の高い空気の塊ができる。圧力は建物の上部だけでなく、低層部まで均等にいきわたる。建物の前面の3辺(左右の角、建物の軒)から風が吹きだす。地上付近の左右の角では、(圧力エネルギーが速度エネルギーに変換されて)強い風が吹きだす。これがビル風となって地上付近にいる人に感じられるということです。

図 風が吹き付ける建物の前面にできる圧力の高い空気だまりが風を吹き出す
建物側面の風速増加域は、地上部付近だけでなく、建物の上層階部分でも確認できます。マンションの角部のバルコニーに立つと角を境として強風を体験でき、その現象は、上図のようなモデルを当てはめて説明可能です。