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今回当社が行った調査は堺市南部地域の住宅団地の建て替えに伴う風環境評価です。堺市の内陸部は南の方角に大きく突き出しており西の泉北高速鉄道と東の南海線によって開発されているようすがうかがえます。未開発の領域もたくさん残されていて、これからの大阪南部地域の住宅開発の残された領域となっています。今回の調査はそうした未来に可能性を秘めたフロンティアに近い、駅前団地のリフォーム物件でした。
この地域は、下図の色分けした標高図が示すように北西から南東方向に緩やかに登っていく傾斜地となっています。図の中央部にくの字に曲がった南海高野線が見えます。そのくの字の曲がりに位置するのが泉北駅で今回の物件の最寄り駅となります。図中右手には金剛山地に向かう峰の1つが見えています。計画地は駅前にあるため池のそばの沖積低地であり、西風が斜面を吹き登って風速を増してくるという、斜面地の地形風の影響を受ける地域でした。
本地域は泉北丘陵の北側辺縁部に相当し、計画地周辺は泉北ニュータウンの中高層団地の開発エリアとなっています。本計画地一帯は下左図の丑池(うしいけ)という古いため池に面する平坦地にあり、東西の台地上位面に囲まれた比較的標高の低い土地となっていました。本計画地は、下右図のような塔状集合住宅が存在していますが、新たに高層建物に建て替えられることが計画され、周辺の風環境の変化が予想されました。残念ながら新しい建物についての情報は守秘義務がありますのでここで申し上げることはできません。
辺り一帯は古い住宅団地であるため建設当初に植えられた樹木が大きく成長し、下図のように防風林が形成され街の風環境を保全している様子が伺えました。
調査はまず計画地内を踏査してメインの住宅建築を順番にくまなく調べて参りました。高層住宅が10棟程度存在し、間隔を取りながら傾斜地に建設されていました。風環境を考える時にこうした建物の標高がいかなる高さに位置しており、周辺の歩行者動線がどこにあるかということが風環境評価のポイントとなりますので、地形の起伏や歩行路を調べることが欠かせません。
2番目に大事なのは計画地を取り巻く中高層建物の存在や地形の起伏です。これら建物、地形は建設前後共に変化せずに存在し、これらの要因によって計画地に流入する風がほぼ決定されるからです。周辺に存在する商業施設や公共建築を調べてそれぞれ高さを継続して記録致しました。下図右は計画地の西側道路と住宅団地であり、こうした建築物と、下図右の段差地形によって西方向からの風は計画地内ではかなり減衰していることが予想されます。
ビル街ではないのでofficeビルは少なく、下図左のような住宅、商業ビルが南方向に多く風が遮られています。一方、北方向には下図右の遠景写真からわかるように住宅団地と森林が続いており、こちらは斜面を登ってくるため地形風によって増速している可能性があります。
計画地の風は下に示す「大阪府大気汚染常時測定結果年報」の風配図から西と東北東の頻度、風速共に高いことがわかります。風配図の中段から下段にかけて、計画地に近い深井、登美丘、若松台の観測値が示されています。それぞれの方向にどのような建物が存在するか調査します。その結果、西は最も強風頻度が高いのですが、こちらの方角には住宅団地と森林が続いており、しかも道路を境として計画地がくぼ地となっているため地上風の影響を受けにくいことが考えられます。一方、東方向からも森林の樹木が繁茂しており風が減衰している可能性が高いです。
なおこうした風向の発生頻度の特性は大阪地域独特のものであり、関東では、北北西と南、中部地方では北北西と南南東の風が卓越する傾向があります。予め計画地の卓越風向を把握して、強風の発生頻度の高い方角、地域について念入りに調査することがポイントです。
以上のような現地踏査によって周辺地域の状況は把握できたため計画地を後にしました。次に向かったのは地域の風を観測している大阪府の観測所です。本計画地のそばには次の4つの観測所がありました1〜3は堺市 が計測している 観測所です。 4は 気象庁ですが、距離が6.7kmと離れているので今回は不採用としました。
堺市立若松台中学校
校舎の東側に大きなグランドがあります。風速計が設置されているのは写真の右端の4階建て建物の塔屋屋上です。周囲に風を遮る建物がないので、正しい風向風速が測定されているものと想像します。東側のグランドとの間に段差があるのでこちらの風向からの風は地形風の影響を受けている可能性があります。堺市から発行されている観測データの年報を見ますと平均風速では西と東の風の頻度が高いようです。また本観測所では前述の風配図下段中央の若松台のグラフからわかるように、南東の風の頻度も比較的高く、これは南側に伸びる谷筋に沿って吹く山谷風によるものと考えられます。後述する2観測所には見られない特徴的な点です。今回の計画地に最も近く、観測所は計画地と地形が似ていることから、計画建物の風環境評価に最も適している観測所だと考えました。
堺市立登美丘西小学校
次に登美丘西小学校に移動しました。こちらの小学校は低層の住宅地の中に立つ4階建て建物で、敷地南側の敷地境界の近くに建つ4階建て校舎の、下図に見える長い校舎に2つ塔屋があり、その奥側の塔屋屋上のポールに風速計が設置されています。こちらの風速計も周辺に遮る建物がないため正しく計測されているものと考えられます。
東深井小学校
こちらの小学校は駅近くの住宅密集地に建設されており、その校舎は逆ユの字型の配置となっています。北側に突き出した3階建て校舎の端部の1スパンが4階建てとなっており、それが下写真の中央に表れています。その校舎の4階教室の屋上のポールに風速計が設置されており、その奥側に当たる西側はグランド、右側に当たる北方向にはため池があり、ほとんど遮る建物がありません。こちらの観測所も上空の風速を正しく計測しているものと考えられます。ただしため池が作られるように、当小学校の位置は低地と台地の中間に位置するため、傾斜地による地形風の影響で風速が平地に比べて増速している可能性があります。
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